
2026.3/7・8に和歌山県和歌山市ビッグホエールで「和歌山オープン第2回全国U-18選抜フットサル大会」が開催されました。大会は関西フットサル連盟主催で関西の各府県代表と各地域からの計12チームによるグループリーグ戦と順位決定戦の形式で行われました。JFAや日本フットサル連盟の公式戦ではないため、認知度は低いかもしれませんが、U-18フットサル関係者にとってはかなり思い入れのある大会です。サッカー程の公式戦やトレセン活動が一部の地域でしか実施されないU-18フットサル育成環境では貴重な経験値をあげる場であると言えます。
香川県選抜チームは、この前身となるGAVIC CUP U-18 フットサルトーナメントやFUTSAL KOBE FESTA ユースフットサル選抜トーナメントに4度出場し、うち1回ベスト4に入っています。今年は4年連続四国優勝しての出場でしたが、結果は大変苦しいゲーム展開を経験しつつのベスト11でした。ベスト11(イレブン)とはサッカーの優秀選手賞のようですが、参加チーム12チーム中11位という意味です。今回対戦したチームは、東京都、宮城県、大阪府、和歌山県、兵庫県、そして京都府の各選抜チームでした。
今年のU-18フットサル香川県選抜チームは、以前に投稿したように高松北高サッカー部と高松商業高校サッカー部が主力でした。四国大会は、両チームでの各自が得てきたサッカーの経験値を活かして勝ち上がることができましたが、今大会は上手くできないことが多くゲームを通して様々な学びがありました。
特に今年参加しているメンバーたちは、日常のほぼ全てがサッカー部活動です。2年前までは私がサッカーとフットサルのハイブリッド・フットボールを日常のトレーニングで実践していて、ある程度までならフットサル特有の戦術にも慣れていたと思いますが今は、かなり状況が違っています。サッカーとフットサルでは、プレーの目的を同じ言葉で言っても、競技特性上やり方や考え方が違ってくることが多々あります。
例えば、相手の幅と深さを活かした攻撃に対しての守備をテーマに掲げた際、「3ラインを保とう」といってもサッカーの場合は、1stラインから最終ラインまでをコンパクトにしようとフィールド10名(FW/MF/DF)で組織をつくります。しかし、フットサルでは1ラインに1名多くて2名で、スペースの消し方やマークの際の距離感を一人一人が担う場面が非常に多く、判断ミスは即失点のリスクが高いと思います。
サッカーにおいてもっと緻密に個人戦術を身に付けて状況に応じた柔軟な発想を基礎におけば良いのでしょうが、サッカーの守備は、広いスペースを人数をかけ、しかも素早く裏を突くか、ダイナミックに高さや個の力でゴールするかという攻撃に対抗する実践力がフットサル以上に大事になります。そのためには、戦術的に判断をしながらも人数とフィジカルで走って守らないとあらゆる選択肢に対応できません。
逆に言えば、逆レーンはカバーリングのポジションを取ることがまず必要で、その際の体の向きや重心、予測の効いた絶妙なポジショニング等ができていなくても大丈夫なときもあります。しかし、フットサルでは逆レーンといってもすぐそこの距離ですから、エラーを見抜かれてしまいます。サッカーのようにリトリートして最終ラインに入り、かつ絞っていればひとまず安心というるイメージは非常に危険ということです。事実、その空いたスペースや意図の弱いポジションを利用されて楽に主導権を取られてしまうことが多かったです。
また、攻撃面では、守備から攻撃にスムーズに切り替えることができて数的優位性のあるカウンターをかけることができた際、簡単にボールを失ってしまうもったいないようなシーンが多かったです。ここでは、相手の守備の意図の裏を一瞬突いたり、判断の意図を相手に示して固定し、狭い幅と短い背後のスペースを攻略する必要があります。スピードを上げるだけのドリブルや急いで不正確なパスやコントロール、更に相手守備の示すままにストロングサイドに飛び込んでいく展開は確率の低い攻撃、守りやすいと思われてしまったのだと思います。相手チームが試合が進むにつれ、特に後半どんどん落ち着きをみせて、得点差ほどはない違いが、内容の大きな差になってしまったことは大変残念だと感じました。
それでも、どのチームに対してもプレスが決まるシーンや時間帯、攻撃の選択肢の少ない中で追い込まれながらもファーサイドのネットをつくゴールを決めるなど、我々らしいプレーが本番で経験できたことは今後につながる素晴らしい点だったと思います。ほとんどのシュートがファー側すなわちセグンドを狙わない中で、逆によくここまでできたと思えるところは、素直に評価したいと思います。
選手たちは、大会が進むごとに、自分たちと相手は何が違うのか⁈自分たちの現状からどうすればこのコートで通用するプレーができるのか⁈、上手くいかないときにはどうやって回避すれば失点につながらずにやり返せるのか⁈、もっと簡単に得点シーンをつくるには、どんな意図で攻めを組み立てればよいのだろうか?などを周りのチームのプレーを参考に試行錯誤しながら、ミスしながら修正し、また実践してを繰り返すエラー&ランの実証場になったと思います。
とはいえ、両チームともに帰れば日々クレーグラウンドが活動場所です。フットサルトレーニングには致命的なイレギュラーバウンドが当たり前でボール扱い自体に神経を使わねばなりません。おそらくは、今回得た経験は来年のこの時期までお預けになると思います。セットプレーで一番簡単な形のチョンドンもトレーニング不足で得点率0%、プレス回避は一回ごとに一から考えてしまい攻撃の組み立てや前進の区別がベースにない、ボール回収を後ろ向きで成功したら個人で振り向こうとしてオープニングの概念がない等、今後の準備において県選抜としての課題を感じることになりました。
今回対戦したチームで印象に残ったのはまず和歌山県選抜です。同じ地方のフットサル事情の中、小学校の頃からの仲の良い手作りチームで構成され、地方だからとか、フットサル専門チームがないからを言い訳にせず、むしろこの大会をそれまでのフットボール経験の発揮の場として取り組んでいると聞きました。そもそもベンチ入りの人数自体が少なく、人数なら負けないと思いきや、そんなことは自分たちが一番わかっているとばかりに非常に巧みな戦い方で、かつチャンスと見るやとてもチャレンジャーで1点をもぎ取りに来る積極さが良かったです。そして、これまでの想いのこもった姿が感動的でした。
次に今回対戦した中で一番完成度が高かったのは宮城県選抜でした。東北大会を圧勝で今大会に臨んできただけに、個々のプレーヤーも連携場面においても柔軟性に富み1位決定戦となった対神奈川県選抜に対しても十分に力量を発揮されていたと思います。ただ私は、このクラスになると正直に言えば何をやりあっているのかがよくわかりません。「細かくやりすぎだろう」と思ってしまいます。しかし、この拘りこそがフットサルを愛して楽しくプレーしたいという模範のようなチームの原動力だとは分かります。同年代であるU-19スペイン・バルセロナFCのプレーとは違いますが、日本人らしい緻密でテンポの良いフットボールでした。香川選抜にとって今後のヒントをいくつももらった一戦になりました。
今後、香川県フットサル連盟として、限られた選択肢の中ですが、できることは何かを整理したいと思いました。環境を言い訳にせず、香川県ならではの育成はどんなことができるか、他の事例をヒントにさせて頂きながら香川県・四国を整えて再びチャレンジする機会を狙っていこうと思います。最後になりますが、この度の選手たちとスタッフ(近藤監督と眞鍋コーチ)、ご家族の方、ご協力してくださったチームの関係者の方々、そして関西フットサル連盟の方々に感謝申し上げます。本当にありがとうございました。